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家電リサイクル法、リサイクルの妨げは粘着テープだった!?

強力に貼り付くのにキレイに剥がしやすい、矛盾をクリアした両面テープとは?

廃棄された家電製品

「作業長、これ、どうにも剥がれないですけど」
「どれ、貸してみろ…う~ん、むんんん! …無理だ、ガチガチにテープでくっついているからな、諦めて粉砕回しだ」
「えーもったいない、けど了解です」

とある解体業者での若手とベテラン社員のやり取りである。

家電リサイクル法と精密機器化する家電製品

2001年4月に施行された家電リサイクル法。テレビや冷蔵庫、洗濯機をはじめ、一般家庭や事務所から廃棄される家電製品は、リサイクル可能な部品や材料を仕分けすることが義務付けられている。

近年、薄型テレビやIoTによる家電の精密機器化・生産効率化により、従来のネジ止めや接着剤で処理されていた箇所が両面テープよって固定されるケースが増えている。
家庭から廃棄家電を引き取った小売店やメーカーは、自身で分解仕分けをするわけではなく、解体業者や粉砕業者などに委託するわけだが、請け負う解体業者が頭を抱える悩みのタネがこの粘着テープだ。

がっちり固定する両面テープがリサイクルの妨げに

家電製品の耐用年数は主なもので5年から10年程度。家電が発する熱や、四季の気候、湿気など過酷な環境下で両面テープは、決して剥がれることなく固定する仕事を全うするわけだが、当然ネジ止めや接着剤と同様、しっかり部品を固定する力、接着力が求められる。
その結果、解体業者にとっては、分解に時間と労力がかかって、提供される解体委託費に見合わない効率の悪い仕事になってしまい、前述の解体業者の若手とベテランの会話にあるように、諦めてリサイクル可能な材料が回収できずに粉砕、最終処分へと回されてしまうケースは全国各地の解体業者でおきている。

家電製品の解体

実は資源大国の日本

「都市鉱山」という言葉が近年注目されているが、日本は資源を輸入に頼る狭い国という印象はもはや古く、実は世界有数の資源大国である。
ゴミとして廃棄される家電製品などに含まれる資源をリサイクルすることで、例えば「金」の埋蔵量は、全世界の現有埋蔵量16%にあたるほど、多量な金を国内に保有していることになる。
今から11年前の2007年に、日本は21世紀環境立国宣言を行い、循環型社会を生み出すために各リサイクル法の見直しや都市鉱山の活用について国を挙げて取り組んできている。
こうした状況下で、リサイクルの最終分岐点となっている解体業者が効率の悪さからリサイクル可能な材料を廃棄へと回すケースが生じるのは、循環型社会への妨げになっていると言えるだろう。

メーカーに求められるサスティナブル

非常に些末な課題のように見えるかもしれないが、ここで着目したい問題は、粘着テープの粘着力にある。
5年から10年という機器の耐用年数期間、強力な粘着力を維持する必要があるものの、それが原因となりリサイクルが進まない材料や部品も数多く生じている状況で、この問題の解決は解体業者が「頑張って剥がす」のではなく、そもそも、メーカーが解体時のことを考えてサスティナブル(持続可能な)製造を行うべきと考えられつつある。
つまり、省スペースや耐久力、粘着力を意識するのと同じくらい、解体時の「解体のしやすさ」「粘着テープの剥がしやすさ」も意識して家電製品を設計・製造・販売するべきだという考え方だ。

リサイクル

強力な粘着力なのにキレイに剥がせる

「矛盾」という言葉が当てはまるように思えるが、高い粘着力・耐久性と、剥がしやすさ・糊が残らずキレイに剥がせる。
リサイクルの障壁となっている粘着テープが、この矛盾を解決できたとしたらどうであろう。
まず、強力な接着力を生み出すためにはどうしたらいいのか。
それは、ただ単に粘着剤が強力である、ということではなく、モノとモノがくっつく原理をしっかりと見つめる必要がある。
接着したい部材を顕微鏡で見れば、完璧なツルツルの平面ということはなく、微細な凹凸が存在する。その凹凸とテープの粘着剤が近づけば近づくだけ、くっつく力は最大化する。これら粘着剤の原理を理解していれば、しっかり圧着することで、その両面テープが持つ接着力を最大限発揮することができる。

粘着テープはどれも同じではない

例えば、薄型テレビの製造においても、部品や材料の接着に必要な箇所の材質や求められる耐久性はバラバラ。
プラスチックとプラスチック、金属と金属、ガラスとプラスチック…etc.
そもそも貼りつける素材には粘着剤がなじみやすい材料、なじみにくい材料がある。
一般的にプラスチックなどは金属などと比べて粘着剤がなじみにくいため、接着しにくい材料が多い。
その様な素材を接着するには、それに適した配合で設計された両面テープの選定が必要である。
その他にも、平面なのか・凹凸があるのか・曲面なのか、こうした状況をしっかりと踏まえたうえで、もっとも特性を発揮できる粘着テープを選定し採用すれば、十分目的を達することはできる。

また、強力な接着力を実現しつつ、はがす時にその接着力でも糊が残りにくい粘着剤の配合と基材がちぎれない設計にすることで、簡単キレイに剥がせる粘着テープは実現可能である。
つまり、矛盾を解決できる粘着テープは存在しているのである。

家電製品の設計・製造エンジニアの方へ

循環型社会の実現には、まず設計段階で、リサイクルを目的とした解体のしやすさをしっかりと考慮することが必要。
接着する材料や形状、求める条件などに応じて、画一的な粘着テープの指定ではなく、個別に最適な「強力な粘着力なのにキレイに剥がせる」矛盾を解決した粘着テープ選びをしてほしい。

強力な粘着力なのにキレイに剥がせる両面テープのご紹介

取り扱い商品約3,800種類 4万サイズ

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著者プロフィール

日東電工CSシステム株式会社小池 季史

2014年日東電工CSシステム入社。製品企画グループに配属となり、各種粘着テープの企画業務に携わる。
その後、デジタルマーケティング関連の部署に移動、これまでに培ったテープの知識・経験を活かしながら、専門的な観点と見る人に分かりやすいコンテンツ制作を心掛けている。

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